お知らせ

子どもの矯正にかかる費用について

お子様の矯正治療にかかる費用を考えるときポイントになるのは、以下の3点です。

①どのような歯科医師が行うのか
②何歳から始めるのか
③どのような治療内容なのか

によって、金額が異なるのが一般的です。

まず、①について、矯正治療は歯科医師免許を持っていれば、どの歯科医師が行っても法律にふれることはありません。しかしながら、いわゆる「矯正医」「矯正歯科医」と呼ばれる歯科医師は少数です。歯科医師は、6年間の大学教育の後、歯科医師国家試験に合格して歯科医師となることができます。矯正歯科医になるためには、さらに5年間以上、大学病院の矯正歯科にて経験をつむ必要があります。最低でも11年間の期間をかけて、矯正歯科医と呼ばれるようになります。そして、5年以上の大学病院における治療経験等がありますと、口唇口蓋裂に代表されるような先天性疾患をお持ちの方や、アゴの形や位置がズレてしまっているような顎変形症の方の矯正治療を保険治療で行うことができます。11年以上の期間をかけて矯正歯科医になったドクターが行う矯正治療の治療費と、一般のドクターが行う矯正治療の金額は、当然に異なってきます。矯正歯科治療は、非常に高度な技術を要しますし、経験をつむにも相当の時間を要します。したがって、矯正歯科医が行った矯正歯科治療の結果と、一般歯科医が行った治療結果とでは、治療結果に差異が生じることもあるでしょう。

次に②について、何歳から始めるのかによっても金額は異なります。しかしここには、注意しないといけない点があります。それは、矯正歯科治療は一般的に1期治療と2期治療にわかれるということです。1期治療とは、成長期の矯正治療です。この時期の矯正治療費の目安は、30〜40万円です。2期治療とは、成長期を過ぎた頃から行う治療で、60〜80万円くらいが相場でしょう。ワイヤーを使用した矯正治療や本格的で精密なマウスピースを使用した矯正治療は、2期治療です。さて、1期治療から治療を開始した人は、1期治療の治療費と2期治療の治療費を足した金額を払うのでしょうか。一般的にはそんなことはありません。1期治療から2期治療に移行した場合には、2期治療の治療費から1期治療にて支払った金額を差し引いた治療金額を支払うことが多いです。当院で行っているPRO矯正は、この1期治療に該当しますが、できる限り1期治療という成長期のなかで治療を完結できるように努力しています。すべてのこどもがそうなるわけではありませんが、2期治療にすすまなくても治療を終えられるように、治療プログラムが組まれています。矯正歯科医院によっては、1期治療と2期治療はセットで考えられていることがあり、早期に治療をしても2期治療を行うことが前提で1期治療が開始されることがあります。2期治療を開始するときにトラブルになることが多いのはそのためです。治療を始める前に、治療を終えられるまでの見通しと、1期治療、2期治療の治療費について、しっかりと担当してもらう矯正歯科医と相談しておくことをおすすめします。また、1回の処置料についても差があります。矯正治療の処置は1ヶ月に1回行われることが多く、3000〜5000円程度です。年間にしますと、4〜6万円程度になります。早期に始めれば、歯を抜かずに矯正治療を終えられる可能性があるなど、治療で得られる利益もあるのですが、その分治療期間全体に要する治療費合計金額は、大きくなります。

最後に③についてです。どのような治療内容なのかによって治療費はかわります。一般歯科医によくみられる拡大床といわれるような矯正装置のみを使用して治療する場合、その治療費は10万円であったり30万円であったりします。これは医院によって大きく異なるようです。装置を新しくする度に、装置代を請求する医院もあります。矯正治療は、セファロといわれる特別なレントゲン写真や、しっかりとした診断に基づき、行われるべきであって、場当たり的な治療は避けるべきです。ですから、治療期間を定めてある程度大きな費用が必要になるのが一般的であると考えていただきたいと思います。また、一本のみの歯の位置異常を治すような場合や、歯の被せ物の治療のために傾斜した歯の位置を治すような場合には、その治療費は歯並び全体を治療するよりも低くなることがあります。以上をまとめてみましょう。①矯正歯科医と一般歯科医では治療経験に差があるため、矯正歯科医による治療は、一般歯科医が行う矯正治療よりも高くなる傾向があります。②1期治療が30〜40万円、2期治療が60〜80万円であることが相場です。1回の処置料が3000〜5000円かかります。③歯並び全体の治療なのか、一部分の歯並びを治す治療なのかによって治療費はかわります。このようにみてきますと、確かに矯正治療は、高額です。しかし、こどもの「食べる」「魅せる」「発音する」などの機能を良いものにして、一生を過ごしてもらうことを考えればその金額の意味も異なってくることと思います。最近では、デンタルローンといって、銀行と患者様が契約して矯正歯科治療費を分割払いにする制度が広まっています。分割払いですとクレジットカードが有名ですが、クレジットカードの分割払いにかかる金利手数料は、11%〜17%ほどで、非常に高いのが気になります。これに比べてデンタルローンという歯科専門のローンは、6〜8%と低く抑えられています。金利手数料がもったいないという声もありますが、分割払いのメリットは、その時点で支払うことが困難な金額の大きい支払いに対応できるということ、そして、矯正治療というのは最適な時期というのがあり、これを逃さずに済むということです。例えば、小児の矯正治療は、成長期に行う治療です。逆に言えば、成長期にしかできない治療ということになります。だからといって、大きな治療費を無理して支払えば、他に払わなければならない出費が発生した時に支払いができないという状況に陥る危険性があります。これを回避するのがデンタルローンです。デンタルローンは半年から7年程度に分割することが可能です。多くの方が利用可能で、実際に欧米では通常のスタイルともいえます。欧米ではかなり多くのこどもたちが矯正治療を受けます。矯正治療を受けられることが中産階級以上であることを示すものともなっています。しかし、欧米でも矯正歯科治療は高額であり、一括で支払うことができない場合が多いのです。また、欧米では国の保険が歯科治療に適用されないのが一般的ですので、歯を1本治療するだけで何十万という費用がかかることがあります。そこで、自動車保険のように、歯科保健というのがあり、普段から虫歯や歯周病に対する備えとして歯科保健に加入している方多くみられます。もうひとつの方法がデンタルローンです。保険でカバーされなかった治療に対して、歯科用のローン契約を銀行と行い、治療費を支払うのです。矯正歯科治療は専門性が高いため、治療技術を身につける側にも相応の時間と費用がかかっています。患者様負担である治療費が高くなる点について理解していただけると幸いです。